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 リンパ浮腫 Q&A

☆ リンパ浮腫はがん(主に子宮がん卵巣がん乳がん前立腺がん等)の手術や放射線治療などの治療後すべての患者さんに起きるものではなくリンパ浮腫発症の時期も一定ではありません。術後すぐの患者さんもいれば20年以上経ってなる人もいます。(この差はリンパ郭清時にリンパ管を切断した後のバイパス路のでき難さに関連すると思われますが、はっきりしたことはまだわかっていません。)がんというリスクを抱えた人はすべてリンパ浮腫予備軍だという意識を持ってリンパ浮腫発症のメカニズムを知っておくことはとても大切です。

☆ リンパ浮腫はあまり痛みが無く、最初は腫れたり浮腫みが引いたりを繰りかえして油断をしてしまいがちです。この時期に適切なケアをせず放置すると症状は少しずつ進行していきます。(このリンパ浮腫早期の状態のままの方もいます)またこのような状態のとき疲労で体力が落ちたり、外傷や火傷などで浮腫みが一気に顕著化することもあります。このときも浮腫みを放置せずできるだけ早いうちに医師やセラピストに相談しましょう。少しでも浮腫みを減らして皮膚への負担を軽くすることが大切で、それからの生活の質を左右します。

質問1 どの部分から浮腫は起こるのでしょうか?
初期に浮腫みを感じやすい部位
・腋窩リンパ節:患肢の上腕・前腕内側・胸部・背部 (後部腋窩部)
・鼠径部リンパ節:患肢の大腿内側・下腹部・腰臀部 外性器部
・骨盤内リンパ節:両脚(大腿内側)・下腹部・外性器 部・腰臀部

質問2 脚に浮腫みがありますが夜寝るとき脚を高くして寝ると浮腫みは取れますか?
・脚を高くして腰の部分を低くすると外陰部に浮腫み が来ることもありますので腰と脚の高さの差が余り 無いようにしたほうがよいと考えます。また腰や臀 部に浮腫みがある方の場合市販の圧のあるストッキ ングを着用してしている人もいます。個人差があ  りますので誰にでも効果があるとは限りませんがい ろいろ試してみることも大切です。

質問3 弾性ストッキングスリーブがとても装着しづらいのですがよい方法はありますか?
・着脱が大変でも状態に合ったサイズを選ぶと心地よ く感じるものです。(着用しても少しずつ浮腫みが増すようであればもっと圧のあるものに変える必要があります)着脱のときにすべりを良くする補助用品も販売されています。市販のゴム手袋(ぶかぶかでないぴったりサイズのもの)を利用すると装着しやすく感じます。弾性着衣は圧が考えられて作られていますのでむやみに引っ張って装着しないようにしましょう。圧の弱い弾性着衣を重ね履きしている人もいます

質問4 蜂窩炎など炎症のあるときでも弾性着衣は装着したほうが良いのですか?
・炎症のあるときは着用は控えてください。

質問5 弾性着衣はどれくらいで買い替えの時期が来るのでしょうか?
通常毎日洗濯洗濯するので3ヶ月から6ヶ月で買い替え時期が来ていると考えています。(150回の使用と洗濯に耐えるように作られているようです)

 リンパ浮腫の原因

リンパ浮腫の起こる原因を考える時、いろいろリンパ分類方法がありますが、一般的に次のように分けられます。

T 原発性
● 先天性 出生時から2〜3歳くらいまでに発症する場合を言います。
● 早発性 35歳ころまでに発症した場合を言います。
● 遅発性 35歳以降 開始は見た目の原因なしで突然に出現片方あるいは両方の四肢に影響を及ぼすこともある。女性の場合は妊娠前後で区分けされることもあります。

リンパの会員の中には怪我などの外傷で発症した方や感染症で発症した方もおられます。

U 続発性(後から何らかの障害を受けて発生したもの)
● リンパ節郭清(=リンパ節を取ること)リンパ管が切断されるため
● 放射線治療 リンパ管は大変薄くて脆い構造をしているため、放射線を受けてもリンパ管が障害を受けてしまう可能性があります。
● 抗ガン剤によりリンパ管がダメージを受ける可能性があります。これは最近、白血球の数値を上げられる良い薬が開発されたため、今まで以上に抗ガン剤を強力に使うケースが出てきたそうで、その結果抗ガン剤の副作用によりリンパ管がダメージを受け、例えば乳ガンの方でも下肢にリンパ浮腫が起こる事があります。
上記の治療を複数お受けになった方は、それぞれ単独の治療よりは、更にリンパ浮腫が起きやすくなります。またもともとリンパの流れがあまり健全でない方も確率的に発症率が高いといわれています。

 リンパ浮腫は治るのでしょうか?

これは現代医学では非常に難しく、一度リンパ浮腫が起こると一般的には治らないと考えられております。しかし、中には10数年むくんでいた腕や脚が、健側の太さとほとんど変わらないくらいに細くなる方もいらっしゃいますので、あきらめることはありません。それに現代医学では根本的な治療法がまだ見つかっておりませんが、将来見つかる可能性もあるのですから、その時まで浮腫を軽い状態に保っておけば、何の問題もないですし、日常もさほど苦痛を伴わないで済むのです。しかし、その場合でも何もせずにほったらかしにしておいて良くなる方はまずおりません。リンパ浮腫治療の目的は“現在の状態をいかに改善し(たとえ少しでも)、悪化することを防ぐか”の一言に尽きます。そしてそれを実現するには、日中活動時の対応にかかっており、そのためにも無理なく毎日続く方法でなくてはいけないのです。
 そもそもリンパって?

リンパとは体液の一部分です。
身体中に存在する全ての液体を体液とよび、人間が生活して行く上で、吸いこんだ酸素、吸収した栄養分、免疫物質(身体を守る働きをする物質)や体温などを身体の隅々に運び、今度は老廃物などを身体の外に運搬する物質の運搬役です。
ちなみに血液はその体液の一部分です。
物質運搬役である体液の通る通路としまして、次の2つ(血液とリンパ管)があります。

≪第一の通路 血管≫
血管は、広大な土地に設置されているパイプラインのようなもので、身体の主要部分間にはネットワークが出来ておりますが、自由にどこからでも好きなように、血管内外を体液が出入りするという事はありません。

動脈:心臓から出た太いパイプがだんだん細くなり、ついに隙間だらけの毛細血管へ行くルート。
静脈:毛細血管の隙間から出ていって、再び戻ってきた体液の大部分(残りは次のリンパ系を通って最終的に静脈に戻ります)が、毛細血管から静脈を通って心臓へ帰るルート。

≪第二の通路 リンパ管≫
毛細血管の隙間からしみ出た体液が身体の隅々を移動したあと、毛細血管へ戻る以外のルート。そして、このリンパ管を流れる体液がリンパです。リンパ管はだんだん合流し、最終的に左右の頸の付け根近くにある静脈にもどります。リンパ管の所々には関所であるリンパ節があり、リンパは必ずその関所を通ります。
ガン細胞は、リンパに乗って身体の別の部分に行く恐れがありますので、ガンができていたすぐ近くのリンパ節に引っかかっている可能性を考慮して、リンパ節郭清(リンパ節を取ること)をするのです。それがむくみを起こす原因の一つとなります。

 リンパ管の特徴

1.リンパ管の配置は、左右半身で非対称・・・
  右半身と左半身では左右対称ではなく、右上半身のリンパは右の静脈角へ、
  それ以外の下半身全体と左半身は左静脈角に戻ります。

2.リンパ管構造・・・
  リンパ管は構造的に細くて薄く脆い膜からできており、外部からの物理的な
  刺激を始め放射線や抗ガン剤により障害を受けやすいです。

3.リンパ管の太さと本数・・・
  リンパ管の流れる経路は、細くて多くのリンパ管がだんだん合流し、
  太くはなりますが次第にその本数は減ってゆきます。
  よって太い部分が障害を受けるとそれ以前の全体に影響が強く出ます。

 治療法

 現在のところ、リンパ浮腫に効果のある薬はほとんどなく、主に徒手および機械によるマッサージと弾性ストッキング・スリーブの着用といった保存治療が主体です。それとともにストレッチングをなさることで、腕や脚の付け根周辺のこりを軽減する事が大変重要です。この部分がこってしまいますと、肝心なリンパの流れを狭めてしまうことになりますから。

 ≪ストッキング・スリーブについて≫
 ストッキング・スリーブは、マッサージなどにより浮腫の減った状態を維持するためと、浮腫を悪化させないようにするためのものです。その他マッサージ効果も期待できますが、これはむくみの軽い方にはてきめんでも、ある程度のむくみにはあまり効を奏しません。つまり、ある程度のむくみの方には循環改善はあまり望めません。

 日常生活の注意点

1.傷、虫刺されなどに注意!!
  リンパ浮腫はリンパが溜まった状態ですが、そのリンパは言ってみれば栄養の
  固まりで、おまけに循環が悪いうえ温度も細菌などの繁殖しやすい適度な
  温度ですから、一度でも傷などから細菌が入ってきますと急激に広がってしまい、
  蜂窩織炎という炎症を起こしてしまう可能性があります。
  また、入った細菌がいずれすべて患部から消えればよいのですが、多少でも
  残っている時に疲労したりしますと、細菌が身体の免疫力を超えてしまい
  蜂窩織炎をおこし、それを繰り返してしまうことがあります。ですので、体力を
  落とさないことも重要です。
  万が一患部が赤くなり全身に高熱が出ましたら、患部を冷やし安静にされた
  うえで、早めに医療機関での適切な処置をお受けください。

2.無理をしない・冷やさない
  これも上記1に関連しますが、無理をしますと免疫力は落ちますし、冷やすと
  ただでさえ循環が悪いものを更に悪化させます。ただし、蜂窩織炎の場合は
  冷やしてください! 
  ただ、適度な運動は非常に重要ですので、疲れない程度に、脚の方は歩行を、
  腕の方は色々な運動をなさってください。

3.ストレッチ運動を!
  特に入浴時にマッサージをし終え、腕や脚が少しでも柔らかくなりましたら、
  腕や脚の関節を動く限りゆっくりと回転や屈伸させ、ストレッチをなさって
  ください。そうしますとより循環が良くなり、相乗効果をもたらします。
  これは何も入浴後やマッサージ後だけでなく、1日に何回も行なってください。
  蛇足ですが、首を回す時は、口の力を抜いて多少空け気味でなさってみてくだ
  さい。口を閉じたままで首を回すより、しっかりと首や肩の筋肉の緊張が取れ
  ます。

 最後に

リンパ浮腫は季節や時間などで状態が変化しますので、あまり一喜一憂しないでください。また、手術前などにこのリンパ浮腫の起こる可能性の説明がなく、むくんでしまってビックリなさった方や、“後遺症でしょうがないし、現代医学ではリンパ浮腫は治らない”と言われてショックをお受けになった方もいらっしゃると思います。
しかし近い将来、根本的治療法が見つかる可能性だって十分にあるのですから、どうか悲観なさることなく明るい希望をもちいかにしたら現状が少しでもお楽になるかだけに関心をお持ちいただき、あとは楽しいこと、ウキウキすることをどんどんなさって、楽しい日常をお送りください。

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